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心汰の冒険

2010,3,11...設置

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学パロ
王子のプライド





明くる日もやはり昼食時間になるとノクトは女子達に囲まれていた。
少々冷たくしたところで積極的な女子達にとってはそれすらも刺激的なスパイスに成りうるのだろう。

けれど、こんな光景が毎日のように繰り広げられていれば当然面白くない男子達が不満を露呈し始める。けれど相手は王子であるので弱気な男子では迂闊に手出しはできなかった。

しかし勝気な男子というのも存在している。そんな彼らがノクトに対して牙を剥き始めたのだった。

「いいよな~王子様は毎日のようにチヤホヤされてよ~。」
「ほんとだな~。このままだとクラスの女子全員食っちまうんじゃねえか?」


ノクトの耳にわざと届くような声量で話す男子達。このときクラスの空気が重苦しく変わった。
いつものように三人で弁当を広げていたジタンが、(おいおい喧嘩おっ始める気か?)と彼らの方を気に掛けた。

「けど俺らとも仲良くしようとしねえし、暗い奴だよな~。」
「ボンボンだから庶民とは仲良くしたくないんだろ?」
「だよな。喧嘩のやり方も分からないお坊ちゃまなんだろうな~。」

そんな風に、どんどん煽っていく。教室内では、ハラハラとやめておけよという空気が充満していた。平和に過ごしたい生徒達が大半なのである。
しかしノクト本人の動向も気になるのか、彼等から注意を離せないでいる。彼らの言うとおり、喧嘩のやり方も分からないお坊ちゃまであるのなら、何も言い返すことはできないだろう。そうすれば平和だったこのクラスはどうなってしまうのだろうかという不安もあった。

しかし・・・。全く別の方向へと転換していくことになるとはこの時誰も知らなかった。

ノクトがふいに席を立つ。その瞬間、クラス中の皆の視線が彼に集中した。そして、野次を飛ばしてきた男子生徒達の方を見るノクト。目が合ってしまった彼等も驚きに表情を強ばらせた。

「お前か?俺のことボンボンだとかお坊ちゃまだとか吠えた奴は。」

クラス内が静まる。
すかさずジタンが席を立って、ノクトの傍へ近寄った。

「ノクト、やめとけ。喧嘩なんてしてもしょうがないだろ?」

そう言ってその場を収めようと彼をなだめるのだが、ノクトの目はもう既に座っており、視線は相手の男子生徒達へと固定されてしまっている。

「喧嘩売ってんのは向こうだろ。」

そう言うノクト。すると男子生徒達も負けじと返した。

「お前、なんかいけ好かねえんだよ。王子だからって調子に乗ってんだろ?」

そう煽られると驚いたことに、ノクトが拳を握りしめて間も置かずに相手に殴りかかろうとした。慌ててバッツもジタンと一緒になってノクトの体の前に盾になり止めにかかる。

「てめえ、俺がいつ調子に乗ったんだ!?勝手に人のこと決めつけてんじゃねえぞ!!」

皆、驚いていた。それまでノクトを囲んでいた女子生徒等は顔面蒼白になっている。まさか彼がこんな言葉遣いで、ましてや相手に殴りかかろうとするなんてと。

「俺が何もできないボンボンだって言いたいのかよ!?喧嘩売るならかってやるぜ!!」

「ノクト!!やめとけって!!」

ジタンが必死になってノクトの両腕を抑えているが、彼の力は相当なものだった。

「お前らもやめとけって~、仲良く飯食おうぜ~?な!」

バッツがおどけて、喧嘩腰の男子生徒達の輪に入っていく。そして、彼らと肩を組んだ。

フリオニールは黙って事の経緯を見ていたが、彼はノクトの目を見て思った。俺はこういう目をする人間をよく知っていると。闘志に燃える目だ。そして、こういう目をする人間を迂闊に怒らせてはいけない。彼らは爆発的なエネルギーを持て余しているのだ。そして恐らくは自分にも彼と似たような負の感情、エネルギーが時折顔を出してしまうことも知っていた。

バッツが場の空気を和ませた効果もあったのか、喧嘩を売った方の生徒達は戦意を削がれたように黙りこくってしまっていたが、一方のノクトの怒りは収まってはいなかった。

よほど、触れられたくない彼のプライドを刺激する言葉だったのだろう。ノクトの瞳が光を反射してゆらゆらと揺らいでいた。

「なんだよ?早くかかってこいよ軟弱者。俺一人で全員ぶちのめしてやる。」

ノクトの反撃の口が止まらない。そんな彼をなんとかなだめようと、ジタンはノクトの背をさすってやった。

「ちょっとここ出ようぜ。皆びっくりしちまってるからさ。な!」

そう言って、ノクトを教室から連れ出そうとするジタン。

「触んな。離せ。お前も俺のことバカにしてんのか?」

「違うって。外の空気吸って落ち着こうってだけだ。ほらいくぞ~?」

半ば無理矢理に、ノクトを連れ出すジタン。それを見てバッツも二人の後に続いた。

「みんなごめんな!!ノクトも謝ってるから喧嘩両成敗ってことで!!」

ジタンがそう言うと、納得したのか気圧されたのか、喧嘩腰だった生徒達も顔を見合わせて「ああ」だとか「分かった」だとか言っていた。

場は、なんとか収束する。

フリオニールは彼らの後を追わなかった。自分が行ったところで掛けてやれる言葉もないだろう。男同士の喧嘩なのだからそれでいいと思っていた。男同士はどうしても闘わねばならない時がある。そんな時は止めたって無駄であるし何より無粋な気もしたのだ。

そう、この時のノクトに対しては特にそう思った。
もしバッツとジタンが本気の喧嘩をしようものならフリオニールとて必死で仲裁しただろう。けれど、彼のあの目・・・。

(・・・・・・。)

フリオニールは言い知れぬものを感じていた。





教室を出て廊下を歩く三人。

ジタンがノクトの背中をトントンと軽く叩いてやると、漸く平静を取り戻したのかジタンへと視線を遣るノクト。

「お前けっこう言うんだな~~!!びっくりしたけど、かっこいいじゃんか。」

そう言ってニカッと笑うジタン。するとノクトは急に照れくさくなったのか視線を反らした。

「・・・・・・。」

隣でバッツが頭の後ろで両手を組みながら歩く。

「しっかしこの後クラス戻んの気まずいだろ~あんだけ騒いだら。」

するとノクトが言い返す。

「別に俺は最初からクラスの連中と馴れ合う気はない。俺を嫌う奴がいるなら俺だって仲良くする気はねえし。」

そんな風に言って痛くも痒くもないと言いたげな顔をするノクトを見て、ジタンがさも可笑しそうに笑う。

「そんなこと言っても一人で過ごすの嫌だろ?」

「だから嫌じゃないって。」

「オレらと一緒にいればいいじゃん。」

何でもない風に言ってのけるジタンのその言葉に、ノクトの足が鈍る。そして驚いたような顔をしていた。

「・・・なんだそれ。」

「そうそう、それにノクトってなんか気さくで話しやすいしな~?王子って言うからどんだけお堅い喋り方すんのかと思いきや全然普通なんだもんな!」

バッツも笑っている。

「・・・・・・。」

ノクトが黙り込む。そしてそんな彼の顔を覗き込もうとするジタンに、ノクトはそっと微笑むような笑顔を返した。

「ありがと。おまえらいい奴だな。」

その笑顔にしてやられるジタン。目をぱちくりとさせている。

「おうよ。」

「バッツも、ありがと。仲良くしようぜ。」

「おう!よろしくな~!」

そんな何気ないやり取りが交わされる。こうしてこの一件は落着したのだった。






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