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心汰の冒険

2010,3,11...設置

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ゼルとセルフィの仲良しコンビの小話
シュウ先輩の指導の甲斐無く・・・
(※セルフィ→ゼル注意)






セルフィは夜中に目が覚めた。その夢の中では何故かサイファーが大型犬になっており、その大型犬サイファーに追い掛け回されるという悪夢だった。
うなされていた彼女は目を覚まし、そして・・・。

彼女はゼルの部屋の前にいた。もう見回りの教官さえも寝静まっているような深夜にである。

呼び出しのチャイムを鳴らすが当然反応はない。ゼルも寝ているはずだ。

「アカンか・・・。」

それでも何度か鳴らしてみた。高速でだ。ゼル相手には全く遠慮がない。

(・・・かえろ・・・。)

セルフィが踵を返して戻ろうとした時、ガタッと派手めの音がした。

(起きたっ!!)

やった!とセルフィの目が輝いて振り向く。シュン、と扉が開き、目を閉じたままのゼルが現れた。

「・・・どこのバカだこんな夜中に・・・」
「ゼルぅう!!」
「・・・・・・。」

ゼルは無言で扉を閉めた。

「ちょっ!!ゼル!!あ、開けてよっ・・・!!」

一応は声を潜めて慌てるセルフィ。

「・・・お前はバカなのかって・・・。何しに来たんだよ。帰れ。」

扉の向こうで冷徹に言うゼル。しかしセルフィは引き下がらなかった。

「怖い夢見ちゃってん・・・。だからゼルで遊んで、」
「帰りなさい。」

間髪入れずに言い返すゼル。そして盛大に溜め息を吐く。

「・・・。」

黙るセルフィ。

「お前さ、そろそろアーヴァインが黙ってないだろ。毎回俺のとこに来てたらいつか大事になるぞ。まじでカンベンしてくれよな・・・。」

「アービンは何か緊張するからダメ。アービンの部屋になんか行けへん。」

ゼルは笑いたくなった。完全に自分を男とは思っていない、きっと彼女にとって自分はムンバやコヨコヨ、さてはチョコボか何かマスコットのような存在にされているのだろうと。

(俺の頭がトサカ(鳥)だからか。そういうことか?)

「ほんと、ふざけんじゃねえぞセルフィ。」
「とりあえずここ開けてくれへん?ちょっと寒いねん。」
「帰れって・・・。」
「いやや。」
「あのさ、女子んとこ行けよ。なんでわざわざこっちくんの?」
「なんでって皆起こしたら悪いやろ?」

(・・・・・・。)

絶句するしかなかった。扉を開けるゼル。そろそろはっきり言ってやらないといけないと思ったのだ。セルフィの為にも、そして何より自分の今後の為に。

扉を開けてやるとセルフィの嬉しそうな無邪気な笑顔がそこにある。しかしゼルは笑ってはいなかった。むしろ少し怖い顔をしている。その様子に気づくと、セルフィの笑顔もすぐに引っ込んだ。

「怖い顔。」
「入れてやるけど奥まで入るなよ。」
「・・・。」

セルフィの顔に焦りが見え始める。ゼルを怒らせることは頻繁にあるにしろ、それでも彼女はめげなかった。ゼルがとことん優しくて、我が儘を聞いてくれることを知っているからだ。けれどそこに恋愛感情はない。ないからこそできるのだった。それなのにやはりゼルの真顔を見てしまうとそわそわとしてしまうセルフィ。

中へと歩を進めて扉が閉まる。

「怒ってるん?」
「怒ってねえよ。けどお前さぁ・・・、子供の頃とはワケが違うだろ・・・。」

石の家にいた頃の話である。あの頃はゼルもセルフィと肩を並べ眠るようなことも頻繁にあった。皆が皆、誰かと一緒に眠ったり、そんなことはよくあったのだが今はもう皆大人に近い。

一緒に眠ったり、夜更けに男女が共に過ごすというのは恋人同士という建前が普通であり、友達という間柄であってもそう多くはないだろう。

「そこんとこ分かってるか?」
「別に一緒に寝て欲しいとかいうんじゃないやん。話し相手がほしかっただけやんか。」
「だからなんで、そこで俺なんだよ・・・。キスティスとか・・・リノアとかいるじゃねえかよ・・・。」

セルフィは膨れる。

「言ってもゼルには分からんやろうけど・・・。キスティ達の前だと甘えられないねん。アービンやスコール班長の前でも無理。遠慮しちゃうんかな・・・よく分かんないんやけど・・・。」

ゼルは黙って聞いてやる。そしてセルフィが言い終わると言葉を紡いだ。

「皆仲間だろ?遠慮することないだろ?それにアーヴァインと付き合ってるんじゃねえのかよ?」

セルフィは難しそうな顔になって、俯いている。ゼルは参ったなというような表情でその様子を伺っていた。

「付き合ってるよ?けど、私はそういうのまだよく分からない。皆でワイワイしてたい・・・。ゼルにも邪魔者扱いされたくないし。」

ゼルがドキリと目を丸くする。

「だから邪魔者扱いして・・・」
「私はさぁ・・・?大人になんかなりたくないよ?なのに、皆して大人みたいになっちゃって・・・。スコール班長なんか、リノアリノアってさぁ・・・?恋人同士だもんね・・・。皆、ちっちゃかったのにさぁ・・・?」

ゼルにはセルフィが何を言いたいのか、全てが分かるわけではなかったのだが、そう言って俯く彼女の表情がどんどん幼くなっていき、果てには目に涙をいっぱいに溜めて顔を赤くして、その涙を零すまいとして怒り顔になっているのを見てしまうと、いつもの調子で茶化すようなことはできなくなってしまうのだった。

「・・・・・・。」
「ゼルは、変わらないんやもん・・・。うちと一緒かなって、せっかくさぁ・・・。」

ゼルは、セルフィの頭をぽんぽんと撫でてやった。

「分かったって。俺も同じだよ。あいつらどこでもイチャイチャすっからなぁ。」

けろっと笑ってセルフィに笑顔を見せてやる。そうすればセルフィも、ぐすっと鼻を鳴らしながらゼルを見上げるのだった。

「お前ほんと、甘えん坊なとこ変わってねえよなぁ。」

かと言って普段そういうわけでもない彼女のそういったリミッター解除のスイッチがどこにあるのかは、恐らく今のところ誰にも分からないだろう。

「けど、アーヴァインに甘えてやれよ。あいつ可哀想だろ?」

問題はそこなのだ。けれど彼の話になると、セルフィは浮かない顔になるのだった。

「無理・・・。」
(む、無理って・・・。)

ゼルは、何かとんでもない地雷のようなものを踏んだ気がして、自分の軽口を恨んだ。下手に首を突っ込むべきではないのだろうが、こう自分に甘えられてもそろそろ応えてやれなくなる。そんな風に思いながらゼルは垂れている前髪を後ろへと流して目を泳がせた。

「ともかく、俺にはもう甘えるのなしな。俺だって彼女できたんだぞこれでも。お前知ってるだろ。」

セルフィはこくりと頷く。

「お前がよくても、俺はよくない。罪悪感ができちまうからな。だから、ダメ。夜に俺のところ来るの禁止な。どうしてもっていうときは女子のとこに・・・」
「・・・・・・。」

セルフィの涙がぽつりと落ちた。しかしゼルはそれを視界に入れないように努める。

「・・・・・・。」

しかし、セルフィが何も言わないせいでそれもできなくなる。ゼルは言うまいとしていたことを、遂に口にした。

「もしかしてお前・・・。俺のこと好きなの?」
「ちがう。」

・・・・・・。
すぐさま言い返され、ゼルはコントのように前のめりにこけそうになった。

「あ、そうかよ・・・。んじゃ早く帰って寝ろ。」

思わず苦笑して、そして安堵するゼル。

「そんでもってもう俺んとこに来るのはーーーー」

すとん、と、セルフィはゼルの胸板に頭を預けて、身を寄せていた。
ゼルが身動き一つせずに固まる。

「セルフィ!?」

「分かんない・・・どうしよう・・・ゼル。私、アービン傷つけたくないのに最低や・・・。」

ゼルはゼルで脳内が混乱していた。流石に幼馴染とはいえ年頃の少女にこんな風にして甘えられては理性が揺さぶられてしまう。そこにどんな感情があるにしろ、本能に直接伝わってしまうというもの。そうなってしまえば遅い。

(だから言わんこっちゃねえよ・・・!!)

ゼルは行き場のない両手を降ろしたまま、曖昧な位置で浮かせていた。

「ゼル。」
「な、な、なんだよ。」
「恋人同士じゃなかったら、こういうことしたらダメなん?」
「そ、そうなんじゃねえの・・・そりゃ・・・。」
「なんでなん?」

答えは決まっている。抱きしめあえば、いずれそれが口づけへと発展し、最終的には体を重ね合わせる行為にまで行き着くだろう。そんなことはセルフィも分かっているだろうに、それをゼルに答えさせようとは何とも酷だった。

「なんでって、俺が困る。」

セルフィは大切な、仲間だとゼルは本気で思っていた。仲間であり、幼馴染であり、そして可愛い妹のような存在でもある。時には彼女が姉のような時もある。けれどいずれにしろそこには恋愛感情はないのだ。そういうものを既に超越してしまっており、それは家族へ向けるに近しい深い愛情。

(そう思ってるのは俺だけなのか・・・?)

「たまに、甘えるのもだめなんかな?ゼルにこうしてもらうとすごく落ち着くねん。」

(何言ってるのか分かってて言ってんのかな・・・。)

ゼルは本気でセルフィのことが心配になった。彼女の口にしていることはもう愛の告白と大して違わない。アーヴァインの立場がないではないか。そう思った。

「いいか、想像してみろ。アーヴァインが、夜中に女子の部屋に上がり込んで、セルフィが俺にしているようなことと同じことをしてたらって・・・。お前はそれに耐えられるか?」

セルフィは顔面蒼白になった。

「無理だろ?お前らが上手くいくかどうかは知らねえけど・・・、相手の気持ちちゃんと考えてやらないと・・・。」

彼女達が上手くいくかどうか、それはアーヴァインの力量次第でもあるだろう。彼女がまだゼルに甘えようとしたり気持ちが落ち着かないというのはアーヴァインのせいでもあるのだろう。恋愛関係に疎いゼルでもそれくらいのことは理解できた。

「・・・大人になるって、寂しいね。うち、なんか寝惚けてたみたいやわ。帰る。」
「お、おお。・・・。」

そしてもうこれ以上驚かせないでくれ、願わくば、アーヴァインがちゃんとセルフィを掴まえて彼女を虜にしてしまいますように。
あいつがセルフィを完全にモノにしてしまえば問題は起こらないはずだろうからと。ゼルは彼女の去りゆく背中を見て思うのだった。

(大人になる、か)

「おやすみ、ゼル。」
「・・・おやすみ。」

扉を閉めようにも、扉の向こう側に立ち振り向いた彼女はまだ何か言いたげで、扉を挟んでしばらく立ち竦んでしまう二人。

「・・・。彼女できても、私のこと邪魔者扱いしないで。」

ぼそっと言うセルフィ。

・・・・・・。
「言っとくけど、俺はお前のこと邪魔者扱いした覚えないぞ。」
「ほんまに?」
「おう。大切な・・・友達だからな。ずっとそれは変わらねえから。」
「安心していいやんな?」
「いいよ。」
「よかったぁ・・・。」
「それは皆同じだろ?恋人ができても仲間は大切だよ、ずっと。」
「うん・・・。ありがとゼル。」

ゼルに手を差し出すセルフィ。小首を傾げるも、その手を握ってやるゼル。

「ゼルはやっぱり大親友や。おやすみっ!」

ふりふりと握手したままその手を揺らすセルフィ。くるっと背を向ける彼女の後ろ姿はやはりまだ少女である。

(大丈夫かなぁ・・・あいつ・・・。)

ゼルの僅かな不安はまだ解けぬまま・・・、彼女の姿がコーナーの向こうへと消えると、そっと扉を閉めるゼル。

(アーヴァインの野郎、俺よりヘタレなんじゃねえのか・・・?
ちゃんと掴まえとけよな・・・。余計なお世話だろうけどよ・・・。)

愚痴をこぼしながら彼の残り少ない夜は更けていく。
睡眠時間、大幅削減。







セルフィは考え方は物凄く大人びてる時もあるけど、恋愛に関してはどうも大人になりきれず、苦手意識が働くような気が。そしてゼルは色んな気持ちをぶつけやすい対象になっている。
こんな少し難しい彼女を最終的にはアーヴァインがちゃんと幸せにしてあげてほしいと思っております…!!!!がんばれアーヴァイン!!!!そしてゼルにも安らかなる睡眠時間を…!!!!


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